よーんなー沖縄

コスタビスタ沖縄を出てプラザハウスに寄り、1時間ほどブラブラした。「さて、これからどこへ行く？」。行き先も決まらぬまま取り敢えず北上した。生まれ故郷のコザを通過し、具志川に入ってからも妻と「どっかいいとこないかな〜」と話していた。しばらくして海中道路を示す標識が出てきたので「久し振りに行くか？」とハンドルを右に切った。

空は少し霞んでいたが、それでも海中道路から眺める海は充分にきれいだった。平安座島から宮城島に入り、海の写真を撮ろうと車を止めた場所に先客がいて、ラジエーターにペットボトルから水を注いでいた。沸騰したしぶきが勢いよく噴き出している。50代半ばの男性に「オーバーヒートですか？大丈夫ですか？」と訊くと、はにかむように「大丈夫だよ」と答える。「水は足りますか？足りなければもらいに行きますけど」「大丈夫。いつものことだから車に沢山水積んでる」。う〜ん、車内に水を常備するより修理に出した方がいいと思うのだが、人それぞれの都合があるのだろう。少し離れた所で写真を撮って戻ってくると、オーバーヒート慣れしたおじさんは若い女性観光客4人と楽しそうに話していた。

伊計大橋を渡り、伊計ビーチ前を通過。沢山の人が見えた。ここは私が学生の頃はイチャンダ(無料)ビーチで、本土から友人が来ると必ず案内した。1982年と1983年に合計3回訪れたが、1982年の2回は私たちだけ、1983年の1回はタクシーに連れられてきた女性3人グループと私たちだけという超穴場だった。施設は大きめの売店、トイレ、シャワーのみ。記憶が曖昧だが、トイレとシャワーは1つずつしかなかったように思う。監視塔はあるが、監視員はいなかった。私が行くのはいつも平日だったので、週末はそれなりに人がいて、監視員が睨みを利かせていたのかも知れない。電柱を再利用したと思われる木製の柱に取り付けられたスピーカーからは、いつもAMラジオが流れていた。1983年9月1日、大韓航空機撃墜事件のニュースはここで聞いた。私の側で「へぇ、おっかねぇな〜」と呟いていたTの知人が撃墜された大韓航空機に乗っていたとは、この時知る由もなかった。

伊計島では犬名河(インナガー)へ行った。これまでも何度か行こうとしたが、方向音痴なので辿り着けなかった。あんな狭い島で迷うのかと不思議に思う人もいらっしゃるだろうが、方向音痴とは我ながら不思議なものなのだ。入口にある由来記によると、犬名河までは石段を150段下りなければならないという。妻はサンダル履きだったので「やめるか？」と訊いたが「せっかくだから行く」と言う。石がすり減って滑りやすくなっている所もあったが、妻も転落することなく到着。ここから水を汲んであの石段を上るのは、さぞかし大変だっただろうと先人の苦労を偲んだ。






石段を上りきると息が切れた。汗まみれの肌に海風が心地いい。長い沖縄の夏も確実に終わりつつある。