2006年02月17日

六七日

 昨日、母の六七日のお墓参りを済ませて実家に行く途中、最後の支払をするために母がお世話になった病院へ寄った。
 請求書と釣銭不要の金額を窓口に出し、しばらく立ったままでいると「お掛けになってお待ち下さい」と職員に言われた。大きな病院ほど領収証発行などの事務処理に時間がかかるのは何故か。患者が多いからだと病院側は言いたいだろうが、事務方が無能だからだと言い返したい。客(患者)をいつも待たせているくせに、座って待てとすぐに指示できないのもそのせいだ。
 高い金を払ってコンピュータシステムを導入したのは、事務処理の迅速化を図るためではないのか。手書きの領収証を発行するよりも時間がかかるのならば、そんなシステムは捨ててしまえ、と心で呟きながらベンチに腰掛けた。
 きっと、どの病院に入っているシステムも自分達だけに都合好くできていて、客(患者)のことなど全く考えに入っていないのだろう。よくもまあ、客(患者)を待たせて平気な顔でいられるな。できるものなら客(患者)本位のシステムを開発したいものだ、とできもしないことを考えながらふと顔を上げると七段飾りの雛人形が目に入った。
 もうすぐ雛祭か。三人官女や五人囃子を見るのは久しぶりだった。実家にも七段飾りの雛人形や五月人形がある。雛祭やこどもの日が近づくと、首里からわざわざコザまで来て、嬉しそうに雛壇を組み立てていた祖父の顔が脳裡に浮かんだ。ムーチーを居間の壁いっぱいに吊してくれたのも祖父だった。
 祖父が亡くなった時、私はまだ幼稚園に入ったばかりで、木箱の中で寝ている祖父の側で何故父が泣いているのか理解できなかった。祖父が亡くなってからムーチーを壁に吊すことはなくなった。雛壇は我々兄弟に急かされた父が当日やっと組み立てたが、雛人形や五月人形は一旦飾られると、随分長い間飾られっぱなしになった。祖父が亡くなって4〜5年経つと、桃の節句も端午の節句も人形なしで祝うようになった。
 私がこんなにタンチャーなのは誰のせいでもないけれど、あの世で新入りの母は肩身の狭い思いをしているかも知れない。祖父はきっと困った顔をしているだろうなと、一度も見たことのない祖父のそんな顔を想像した。

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Posted by 百紫苑(hakushon) at 11:51│Comments(0)独言
 
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