2005年12月13日

貸金業者数が人口比で全国1位

私はバブル崩壊前後、クレジット関係の会社で与信業務を担当していた。お客様に幾らまで貸していいかを判断するのが「与信」で、主に信用情報機関の端末を使うのだが、当時はそれらの機関が「銀行系」「サラ金系」「信販系」に分かれていた。私が勤めていた会社は信販系の端末が導入されていて、これにお客様の氏名や生年月日などを入力すると「70万円のエステを24回払いにしていて、8回目から延滞している」とか「支払に遅れはないが、300万円余りの債務がある」などといった個人情報が事細かに表示される。これらの情報とお客様の年齢、家族構成、年収などから与信していたのだが、この当時、多重債務から自己破産へと突進して行く人を10人前後見た。

信販系の端末から銀行系やサラ金系の情報を閲覧できる方法もあるのだが、その会社はこのような契約を結んでいなかった。正確な金額は忘れてしまったが、信販系以外の情報を閲覧するには、1件照会するごとに幾らかのお金がかかったからだ。つまり、その会社ではサラ金からの借金を踏み倒した人でも、信販系の利用が初めてならば「シロ」としか判断できなかったのだ。

当時からマスメディアは多重債務や自己破産について報道する場合、ほぼ一方的に「貸し手=悪者、借り手=弱者」というワンパターンの図式にはめ込んでいる。なるほど、私が勤めていた会社のように、他系列の信用情報機関も閲覧できるようにしない貸し手がいるから、多重債務者が借金に借金を重ねてしまうことはあるだろう。しかし、私の知っている限り、自己破産宣告した人は全て、食料品や衣料品などの生活必需品を買うためではなく、ブランド物などの贅沢品を買い漁った挙げ句、首が回らなくなり「自己破産したら、借金返さなくてもいいんでしょ?」と安易に考える厚顔無恥な人達だった。

私はその当時、接待で入ったスナックで、「病弱で働きたくても働けない」と調停の時に申し立てて、めでたく自己破産宣告をした女性がガバガバ酒を飲み、ガハハと豪快に笑い、カラオケを歌いまくっている姿を見たことがある(この女性は私の顔を覚えていなかったらしく「お客さん、どこの会社の人ぉー?」と訊かれて、返答に窮したことを苦々しく思い出す)。同僚の回収担当者からは、借金から逃れるために離婚届を提出した後も、実際には「元」夫や子供達と同じ家で生活し続けている人ーーー所謂「偽装離婚」をする人がいるとも聞いた。もちろん、自己破産した人全てが「確信犯」でないことは重々承知している。あくまでも「私の知っている限り」の10人前後の話だ。借金を踏み倒して行方をくらました人も同じくらいいた。

貸金業者数が人口比で全国1位今日の琉球新報朝刊社会面に「貸金業者数 人口比1位」という記事が載っていた。これによると、2004年度の沖縄県内貸金業者数は684(全国6位)、人口1万人比で5.07業者と、全国平均(1.23)の4倍。2番目に多い東京の3.43を大きく上回っているそうだ。昨日の沖縄県議会11月定例会文教厚生委員会で、伊佐嘉一郎文化環境部長が「貸金業者からの借り手が多いことが業者の数が増える要因の1つ」と答弁し、小中学校の児童生徒や教職員への金銭教育などを行うとしているとのことだが、「学校における金銭教育」よりも「他人をうらやむな。身の丈にあった生活をすべし」「人から借りた金品を返さないのは悪であり、恥ずべきことである」などといった「家庭教育」を強化しない限り、自己破産して「ラッキー!」と感じる人は減らないのではないだろうか?

さて、それでは家庭教育を強化するには、どうすればいいのだろう?うーん、妙案なしのどん詰まり。

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Posted by 百紫苑(hakushon) at 17:13│Comments(2)独言
この記事へのコメント
この記事、朝のラジオで聞きました(新聞読まないもので^^;)

>「自己破産したら、借金返さなくてもいいんでしょ?」と安易に考える厚顔無恥な人達

そういう人たち増えてますよね?
そうやって「リセット」してるつもりでしょうか?
貸す方が悪い、と考えるヒトもいるようだし
なんだかなー

Posted by みや at 2005年12月13日 23:52
コメント有難うございます。
貸す方が悪いと考える人がいるのは、マスメディアのせいです。
多重債務者の中には、最初から金を騙し取るつもりの確信犯が多くいます。彼らに入れ知恵しているのは、「自分が貸した分さえ戻ってくれば、それでいい」と考えているその筋の人達です。
このような人達は、とにかく業界の仕組や内情、それに関する法律まで知り尽くしていますから、狙われたら大変なことになります。

Posted by 百紫苑(hakushon) at 2005年12月14日 01:03
 
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