2005年08月09日

それにつけても仕事の欲しさよ

愛猫チャンイに目薬を差した直後の08:11にケータイが鳴った。以前勤めていた会社のお得意様Mさんからだ。「おはよう。いつも朝早くすまんねー」「いえ、おはようございます。それで何か?」「ちょっと急ぎで調べてほしいことがあるんだけど」。Mさんの「急ぎ」は大抵急ぎではない。ご自分が経営する会社に一番で出勤して、手持ち無沙汰だから電話してみたという感じが見え見えだ。

「申し遅れて誠に申訳ないんですが、実は私、先月いっぱいで退職しまして…」「あっ、聞いた、聞いた。いろいろ大変だったみたいだね」。えっ?それを知っていて私に電話をかけてくるとは、本当に暇つぶしとしか思えない。Mさんはあの会社の古い顧客だが、売上への貢献度は低い。在職中はひと月に2、3度は呼び出されて、茶飲み話の相手をさせられた。今日も仕事の話はないんだろうなぁと思いつつ「Mさんの所へ行ってきます」と社長に報告すると「またか」と苦虫をかみつぶしたような顔をしてたっけ…。それでいて「行くな」とは決して言わなかった。

Mさんはあの会社の留守番テープがかからない、所謂「裏番」を知っているはずだ。「私ではお役に立てませんので、お急ぎでしたら×××ー××××に…」「あー、裏番ね。で、この時間、誰か出勤してる?」「えー、35分か40分頃には…」「そうだろ?君から誰かに訊いてくれないか?」「私はもう社員じゃないので困ります」「いいじゃないか」「いや、それはちょっと」…と押し問答がしばらく続いた後、Mさんお得意の愚痴と自慢話が始まった。

「最近はねー、裏番にかけても誰も取らないしねー。多分、君が会社を辞めたのを最初に気づいたのは僕だよ。いつも君が取ってくれてたからねー」「35分か40分頃には誰か出勤していると思いますが…」「いやいや、誰も取らないんだよ。09:05頃まで留守電テープがかかっていることも多いし」「はぁ」「朝いちの電話は大切だよー。僕は20代でこの会社を作って…(聞き飽きた自慢話がダラダラ続く)」「…すいません。私もう会社辞めたんで、お役に立てません。電話切ってもいいですか?」「えっ?あぁ、すまん、すまん」。電話を切った直後、Mさんのケータイと会社の電話番号を着信拒否登録した。人生初の着信拒否だ。

しかし電話を切ってしばらくしてから「もしかして、就職の話だったかも…」と思い始めた。用件を伝える前に取り敢えず愚痴を垂れ、自慢話をし、やたらと回りくどいのがMさんの常だからだ。朝早くケータイに電話がかかってくる事も滅多になかったし…。あぁ、でもなー、一応株式会社を名乗っているけれど、大学出たての長男と次男が相次いで専務と常務になっている会社は、ちょっとなー。しかも専務はリーゼントにぶっといストライプのジャケットを着ているし、常務はいつもつなぎ姿でバイクをいじっているし…。

今のままではわずかな貯金と退職金を食いつぶし、しまいには妻の扶養家族にならざるを得ない状況に陥るのは必至で、決して贅沢が言えるような身分ではないが、身内に甘い「会社のフリした個人商店」がイヤで会社を辞めたのだから、もうちょっと踏ん張ってみたい。

Mさんからの着信拒否は解除した。社会復帰したら、茶飲み話をしに行こう。




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Posted by 百紫苑(hakushon) at 10:58│Comments(0)独言
 
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