2005年07月20日

すあまを求めて三千里

すあま。漢字で書くと素甘?ほんのり甘い和菓子。時々無性に食べたくなる。

社会復帰へのリハビリを終えて壺屋近辺をぶらぶら歩いていたら、京風和菓子という文字が目に飛び込んできた。早速暖簾をくぐってみたが、誰もいない。内側に結露したショーケースの中はガラガラ。それでもわずかな期待を込めて何度か店の奥へ声をかけた。

やっと出てきた主に「すあまないですか?」と訊くと「作ったことないねー」と言う。「すあまって関東のお菓子なんですか?」と重ねて訊くと「知らないねー。初めて聞いたさ」「(知らねぇのかよ)…有難うございました」と店を出た。

東京ではアパート近くの小さな和菓子屋にも売っていた。季節に関係なく年中あったので、いつでも食べられた。この和菓子屋のおじさんは「男の子で和菓子好きは珍しいけど、すあま好きってのはよっぽど珍しい」と私を可愛がってくれて、おばさんに内緒で時々おまけしてくれた。

沖縄に引揚げる時、その和菓子屋へお別れの挨拶に行った。「これが沖縄のお菓子か」。おじさんは私が持ってきたちんすこうと花ぼうるを目を閉じてゆっくり味わった。目を閉じたまま「どちらも初めて食べるけど、うまいね」と言った。おばさんは「田舎で頑張んなさいよ」と言って、すあまを5つ包んで渡してくれた。

私がすあまを食べたのはこれが最後。もう15年経ってしまった。

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Posted by 百紫苑(hakushon) at 00:54│Comments(0)独言
 
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